端午の節句の風習
端午の節句には菖蒲がつきもの
端午の節句は「菖蒲(しょうぶ)の節句」とも呼ばれています。
菖蒲というと初夏に咲き誇る花菖蒲が思い浮かびますが、
花菖蒲はアヤメ科、端午の節句に用いる菖蒲はサトイモ科。
同じ菖蒲でも別の植物です。菖蒲の花は穂のような形の地味なもので、花菖蒲のような華やかな美しさはありませんが、葉や根に強い香りや薬効があり、古くから薬として用いられてきました。
そのため、健康を守り、邪気を祓う薬草だと信じられ、端午の節句に用いられるようになりました。
菖蒲にまつわる風習
【軒菖蒲(のきしょうぶ)】
家に邪気や災厄が入り込むのを防ぐために、菖蒲やよもぎを束にして玄関の軒につるしたもの。火事よけの意味もあります。4日の夜につるし、5日の朝に取ります。伝統的な端午の節句の習慣ですが、現代ではあまり見られなくなりました。
【菖蒲湯(しょうぶゆ)】
5月5日にわかした風呂に菖蒲を入れて、身体を清め、厄を落とします。葉にはさわやかな香り、菖蒲の茎には身体を温め、血行を促すはたらきがあるので、両方を用意してお湯に浸します。
少し高めの温度にしておくと、浴室に菖蒲の香りがたちこめ、アロマテラピー効果が楽しめます。
お湯につかったら、菖蒲の葉を1本取って頭に巻いて鉢巻にすると、健康で頭がよくなると言われています。
【菖蒲酒(しょうぶしゅ)】
菖蒲の根を刻み、30分ほど日本酒に浸したものです。根が手に入らない場合は、菖蒲の葉を入れた器にお酒を注いでも。
お酒に移った菖蒲の香りが、体内の邪気や病魔を追い払ってくれると信じられていました。
実際、菖蒲には強い解毒作用があり、胃を丈夫にする薬草として珍重されていました。
【菖蒲枕(しょうぶまくら)】
枕や寝床の下に菖蒲を敷いて眠り、翌日これを使って菖蒲湯にします。
昔は菖蒲で枕そのものをつくっていたようですが、現代は4日の夜に束ねた菖蒲を枕の下に置きます。
【菖蒲打ち】
菖蒲の葉を地面に打ちつけて、先に切れたほうが負けという遊びです。大きな音を出すほど縁起がいいとされ、より大きな音で打ちつけたほうが勝ちというルールもあります。